239-24.増える繋がり、減る満足〜「病的に自分が好きな人 (幻冬舎新書)」を読了 #感想部 [読書感想文]
鏡 / ryumu
(年間50冊の進捗 50冊/365日×335日目(12月1日)ー24冊目=▲21.89冊)#mhks(本)
・病的に自分好きというのは、じつは多くの現代人にとって、自分自身の問題でもある。読み進めていくうちに、だんだん他人事ではなくなり、「こういう心理、たしかに自分にもある!」と感じる箇所がいろいろと出てくるのではないか。(p7-8)
☆「自分好き」。確かに、私にも自分だけ美味しいモノを食べたり、仕事と偽って面倒な家事や、約束を避けたりと「人に甘えてしまっているな」と思うことが多々あります。
でも最近感じるのは、「お客さん」って、なんでこんな「わがま・・」もとい、「自分好き」(便利な言葉や!)な人が増えてるのでしょうか?
その背景と、自分好きの人と上手く付き合う方法を、探してみたいと思います。
●「自分好き」な人の生活
・ビジネス力を高めるためのスキル本やスキルアップセミナーの弊害といった面もある。何とかカッコイイ自分に見せたい、有能な自分に見せたいといった過剰な自己愛心理を刺激して、見せかけをつくろう術を提供する。そんな商品戦略に乗せられて、自分を大きく見せる術、自分を自信たっぷりに見せるコツなどを形だけ仕込んで、知識や能力といった実質面を向上させる努力を怠る人が増えているように思われる。ここにも自己愛が絡んでいるのである。(p23-24)
☆アイタタ、いきなり自分の事じゃないですか!形から入って、その瞬間だけ満足して、身についていない・・・。これも「自分好き」だったのか・・。
●「自分好き」が増えた要因
・科学技術は、かつて不可能だったことを可能にしてくれた。諦めなければならなかったことを諦めなくてもよくしてくれた。制約をつぎつぎに取り除いてくれた。こうして私たちは、現実を思いのままにコントロールできるというような万能感を抱くようになった。
それによって、私たちは諦めが悪くなった。(p76)
☆自分にとってそれは、「ポケベル」から始まったのではないかと。外出先でも「捕まる」ようになり、深夜、早朝、定休日、休日も関係ない。
携帯電話になり、電波がつながらなければ、メールを送りつけて、自分の言いたいことだけを主張する。
読んでなくても、「送った!」の一言で片付けられる。
クロネコヤマトさんのおかげで、荷物は、次の日に届くのが当たり前。
鉄道は、小銭がなくても乗れる、ICカードが当たり前。
食べたい物、飲みたいものが24時間年中無休、コンビニで手に入るのが当たり前。
便利になればなるほど、それを失った時の反動は大きい。
あの震災がそうだった。
もう、忘れてしまったのかな・・テレビが一日中ニュースだけを流していたときのことを。
●「自分好き」な人の短所
・「自分大好き」の度合いが肥大化しすぎて見失われがちなのが、相手の立場に立つという姿勢である。(p85)
☆今までの日本人は、相手を慮ることを良しとしてきたので、急に「私は、私は派」が増えても正反対なのでかみ合わないですね。
年長者は今まで、そのまた年長者に我慢してきて、やっと自分が尊重されると思ったら、若者は自分自身を主張する。
受けた教育も違うし、お互い反発が大きくなるのは仕方が無いですね。
(※「慮る」ずっと読み仮名をおもん「ば」かる と思ってました、いくら変換しても出てこないので調べてみると、おもん「ぱ」かるだったんですね!)
●「自分好き」な人自身が抱える問題
・本来、人間というのは、外の世界に開かれ、他者とつながることによって安定を得るものなのだろう。自己愛の過剰は、外の世界に対する関心を撤収させ、自分に全ての関心を向けさせることで、かえって生きづらさを生み、本人を苦しめることになる。(p110)
☆例えば、売れたい!と、努力していた役者さんが急にブレイクすると、逆に他人の期待に応えるために、作った(作られた)イメージを演じ続ける。
ある日、自分らしさって・・・と振り返り、ギャップに悩む。そんな感じでしょうか?
自分を認めて貰おうとすることと、自分を認めさそうとすること、どちらも苦しいが、先ほどの「相手の立場」を意識するかしないかで、苦しみから逃れる術を得られるかどうかですね。
●「自分好き」な人の矛盾
・自己愛が過剰な人間は、どんなに自嘲的なことを言っても、あくまで自分大好きなのであって、そんな自分を変えるつもりはない。自嘲を否定して欲しいだけなのだ。ましてや人から否定的なことを言われようものなら、自己愛が大いに傷つけられるため、防衛本能が刺激され、攻撃行動に出る。(p163)
☆自分の行動にも覚えがある・・・。勝手に落ち込み、勝手に自分を責めておき、人に同意を求めておきながら、そうされると怒り出す。
こんな時の一番の解決方法は、「ただ聞いてあげるだけ」「肯定も否定もしない」です。
自分の気持ちにケリをつけることができるのは、自分だけ。
●「自分好き」を活かす方法
・ゆったりと幸せな人生を歩んでいる人たちは、とても楽観的な心の構えをもっている(中略)(自分の人生を嘆く人たちとの)違いは、自分の身に降りかかってくるできごとを意味づける心の構えだ。
・ひと言で言えば「何とかなるさ」といった心の構えだ。(p210-211)
☆他人の立場に立てる人は、自分をも客観的に見ることができる。そして「自分事」ではなく「他人事」にするから問題を上手く解決できるのかもしれません。
他人を励ますように、無責任に「何とかなるさ」と自分に言い聞かせる。その心の余裕が必要なのでしょうね。
☆読み終えて:「人に振り回されず、自分らしく生きていきたい。」よく訊くフレーズです。
でも「自分らしく」って、どんな「自分」?
なかなか、答えられない。
多分、成長するにつれて変わるし、付き合う人々によっても変わるのだろう。
本書は決して「自分好き」を否定してはいない、「自己愛」はすなわち「生存欲求」でもあるからです。
しかし、同時に人間は「社会的」生き物でもある。
もうすぐ、選挙です。確かに、今日本には強烈な「リーダーシップ」が求められている。
しかし「自己愛」が強すぎるだけの人(ここ最近の首相がそうでは・・)では、世間はついてこない。
多くの他人の気持ちがわかった上で、「自ら」が人々を導き、物事を成し遂げようとする人が必要なのだろう。
(それが誰かは、わかりませんが・・・)
「内に、内に」と「コア」を小さく固めるのではなく、
「外に、外に」と自分の「コア」と他人の「コア」をつなげ、広げていく、
もちろん自分の「コア」はしっかりと保ち、中心に据えながら。
そんなイメージではないでしょうか。
実行すること:困ったときにも、「何とかなるさ」と陽転思考を心がける。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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