302−30. 【読書感想文】改革に完成形なし!〜「未完の流通革命 大丸松坂屋、再生の25年」#感想部 [読書感想文]
(年間50冊の進捗 50冊/365日×354日目(12月20日)ー29冊目=▲18.493冊)#mhks(本)
- 作者: 奥田 務
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/10/30
- メディア: 単行本
- ・日本経済が高度成長期から成熟した低成長の時代に移行していく中で起きた社会や消費の変化と、その変化に対応しようともがいてきた私や大丸、J・フロントリテイリングの姿を書き残すことで、企業が永続するために必要な条件や企業や組織を改革する際の要諦、さらには個人にとっての仕事の意義などを読み取っていただけるのではないかと思い、筆を執りました。(p6)
☆2度ほどセミナーや講演会でお話をお伺いしたことがありますが、奥田さんの話し方は、どこか「学者」風で、まるで大学で講義を受けているような感じがしました。百貨店業界では、「宇宙人」「コストカッター」と呼ばれた方の「真意」は?
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・あらためてアメリカという国のすごさを感じました。そのすごさを端的に言えば、大学で勉強したことが実際に企業の運営でも使われているということです。(中略)授業が実践的なのは、教授のほとんどが実務家であるということが大きく影響していると思います。(p27)
☆確かに、自分も大学で学んだことで、社会の仕事に役立ったことは無かったと思います。高校までとは違い自分で「テーマ」を決めて勉強するということは良かったと思います。
・早朝連絡会のルールは三つしかありません。
・一つ目は全員に思い切って議論をさせること。
・二つ目のルールは、トップの下した最終決断に必ず従ってもらうこと。
・三つ目のルールは、会議の場で即断即決することです。トップの判断が必要な案件は、その場ですぐに決めていく。どうしてもすぐに決められないことは、期限を決めて決断することにしました(p108-p111)
☆行った「決断」が、正しいかどうかは分からない。それでも、物事を前へ進めなければならないのが「トップ」なんですね。
・私がこの営業改革を通して実現したかったのは、第一義的にはローコスト経営の実現です。けれどそれは何も人を減らし、コストを省くことばかりではありません。無駄な業務があれば廃止しますが、もう一度新しい目からお客様の視点から百貨店ビジネスを抜本的に見直して、お客さまのニーズがある部分には新しく人を充てていくという前向きの改革です(p160)
☆MDの伊勢丹、優良顧客の三越、高島屋。大衆の西武、そごう。そして、コストカットのJFR…。悪い部分だけが世間で評価されがちです。ローコストの本当の目的は、適正な資源の配分にあったのですね。
・改革を実現するために経営者が果たすべき最大の役割は、言い続け、行動し続けることです。(p178)
・「一燈を堤げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め」
幕末の儒学者、佐藤一斎の語録『言志四録』にこうした一節があります。
・経営者は決断を下し続けなければなりません。そのためには、「一燈」を信じて進むしかありませんでした。「一燈」とは「高い志」のことではないでしょうか。どんなに暗く、先の見えない状況でも、自らの高い志を信じて信念を貫き通さねばなりません。(p278-279)
☆「一燈」が、どんなに薄暗くとも「高い志」であれば、みんなが付いてくる。ギラギラと明るくとも、欲まみれでは、誰も従わないのでしょうね。
・改革は永遠であり、立ち止まることは許されません。常に「未完」の地図を描き続けることが経営です。(p283)
☆読み終えて:商売やサービスに「完成形」なんてあり得ない!
日々、商況は変わり、今日のベストは明日にも陳腐化してしまうから。ましてやネット社会の現在は、社会や顧客の価値観も、あっという間に変わってしまう。
だからこそ、いつまでも「変わらない」本物を扱うのが、百貨店の役割。
もちろん、新しいものを提案し続けるのも、同じぐらい求められている。
新しくて、本物。ーー作る数も、売れる数も少ないからこそ、イオンやイトーヨーカドーやコンビニではない、百貨店ができることだと思います。
そしてそれこそが「コストカット」よりも、百貨店マンであったときの奥田さんがやりたかったことになのではないでしょうか。
モノやサービスを売る人にとって、何よりもうれしいのは、お客さんからの感謝の気持ちですから!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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